自然素材の家を工務店で。後悔しない?特徴を教えて?

自然素材で作られたダイニングルーム

「自然素材の家」と聞くことがありますが、一体どんな家なのでしょうか?

本記事では、この質問に答えます。

最初に、自然素材を使用した家の特徴、次に住み始めて後悔することはないのか。
最後に自然素材の家のお金事情も解説します。

実際に建てられた自然素材の家の実例も交えながら解説するので、少しでも自然素材に興味を持っている人は参考にしてみてくださいね。

「自然素材の家」の特徴は?

早速、自然素材の家の特徴を解説していきます。
通常の家と、どんな点で異なっているのでしょうか。

天然素材で仕上げられた家

自然素材の家は、木や石など「天然の素材で仕上げられた家」を指します。
難しいのはその度合いです。

構造から仕上げまで、ほとんど全てを天然素材で構成している家もあれば、床や壁、天井といった仕上げ部分だけを天然素材で構成する家もあります。

また、自然素材とされる材料の中でも、完全に天然の素材からできているもの、部分的には人工の材料が入っているものなど、様々です。

天然の度合いが上がっていくにつれて、素材を作ったり施工したりするのに手間がかかるので、費用も高くなります。
費用と風合いと、あなたにとって心地いい具合を探ってみましょう。

体に触れたとき、心地よい

自然素材で作られた家は「体に触れたときに、心地よい」感触があります。
この肌触りが、自然素材の家の最大のメリットといえるでしょう。

たとえば、杉板の床です。
一般に用いられている合板フローリングと比べて柔らかく、サラサラとした触り心地は自然素材特有のもの。

壁面も同様に、漆喰や珪藻土で仕上げられた壁は、手で触ったときの感触は一般的なクロスと異なる感触です。

ほかにも、和室のタタミに用いられている、い草なども自然素材の代表。
サラサラとしたタタミの感触は、他の素材に代えがたいものです。

遠目から見ても質感に優れている

自然素材は凹凸がはっきりしているので「遠目から見ても高級感・質感が優れて」います。

壁の仕上げをビニールクロスから漆喰の塗り壁にするだけでも、空間から受ける印象は大きく変わるでしょう。

家全体を自然素材にすると費用が高くなるので、過ごす時間の長いリビングやダイニング周辺の仕上げだけでも、自然素材で仕上げると雰囲気が変わります。

>実例紹介:自然素材を適所に使った"座"の暮らし(行方市)

>実例紹介:自然素材を適所に使った”座”の暮らし(行方市)

調湿・防臭などの効果がある

自然素材で仕上げをしていくと「調湿・防臭」の効果を期待できます。

漆喰や珪藻土は独特の芳香があり、壁一面を塗っていくと防臭機能を果たします。

また、組織内部に水気を吸い込んでくれるので、建物内部の湿気が高くても、塗り壁を施工した部屋は体感できるくらい湿度が下がることがあります。

こういった効果は、床材に用いられる杉板やひのき板でも同様の効果が期待できます。
「フィトンチッド」とも呼ばれる、木材特有の芳香が、長期間に渡って香り続けるでしょう。

「いい感じ」に年を取っていく

天然素材は「いい感じに年を取る」こともメリットです。

通常のビニールクロスや合板フローリングの場合は、傷や剥がれが生じたとき、張り替えが求められます。

しかし、壁の仕上げが漆喰や珪藻土なら半永久的に美しさが保てますし、部分的に欠けが生じたときもDIYで補修することで機能を保てます。

壁・床について傷の一つひとつは思い出にもなり、人と家とが一緒に育っていく感覚を共有できるでしょう。

「自然素材の家」に住んで後悔することはない?

無垢の木材で覆われたベッドルーム

自然素材の家の特徴を把握したところで、次にデメリット的な側面も見つめてみましょう。

自然素材の家に住んで、一体どんなことで後悔するのでしょうか。

最初の3か月は傷が気になる

最初の後悔は「傷」です。

特に、杉やヒノキなど、柔らかい床材を使っている場合は、子どもがおもちゃを落としただけでもキズ・へこみが起きるので、入居後しばらくの間は傷がつくたびにショックを受けるでしょう。

個人差はありますが、3か月もすると新たに傷がついても気にならなくなり、むしろ思い出のひとつになっていきます。

さらに歳を重ねて、2年、3年と経過すると、大きな傷ほど思い出深くなるのが興味深いですね。

なお、カバザクラやオークなど、天然木材の中でも硬い素材を用いれば傷の発生は低減できますが、木特有の温かみも失われてしまうので注意しましょう。

  • ・柔らかい木材(スギ・ヒノキなど):柔らかい・温かい
  • ・硬い木材(カバザクラ・オークなど):硬い・冷たい

といった風に、硬さと温かさの両立は難しいので、暮らしぶりに合った素材選びが大事になります。

膨張・収縮でひび割れが発生する

キズの次に後悔を感じやすいのは「膨張・収縮によるひび割れ」です。

木材も塗壁材も、天然素材である以上、日々湿気の吸放湿や温度変化を主要因として、膨張と収縮を繰り返します。

その結果、壁と床の取り合わせや、木材自体にヒビが入ることがあります。

生活する上で問題になるものではありませんが、美観を気にする人であれば、補修したくなるかもしれません。

天然の素材である以上、膨張収縮は発生して、小さなひび割れや隙間が生まれる認識はしておきましょう。

「自然素材の家」って高いの?

美しい木目を持つ無垢材の床

自然素材の家について、特徴や後悔しやすい点について解説しましたが、最後に気になる値段のことも紹介します。

通常の仕上げに比べると高い

自然素材の家は「通常の仕上げと比べると高額」です。

一般的な住宅は、壁・天井はビニールクロス、床は合板フローリングで仕上げを図ります。
一方で自然素材の家は、壁・天井は塗り壁、床は無垢の木材を用います。

ビニールクロスであれば、石膏ボードなどの下地にクロス用ののりをつけて、壁紙を貼り付けていきます。

漆喰や珪藻土などの塗り壁の場合は、まず下地処理剤を塗り、次に下塗りを行い、最後に本塗りを経て完成に至ります。

職人さんが行う手間が、ビニールクロスと比べて多くかかり、使用する材料自体も高額になりがち。
そのため、ビニールクロスよりも高額になります。

条件によって異なりますが、一般的にはビニールクロスと塗り壁で4~5倍程度の費用差が生じるといわれます。

家全体を塗り壁にすると差額が大きくなるので、リビングやダイニングなど、家族が多くの時間を過ごす場所だけ塗り壁にする選択肢もあります。

自分でメンテナンスする楽しさも

自然素材の家は、建築時は比較的高額な予算が必要になりますが「自分でメンテナンスできる」ため、長期的には費用を下げられる可能性も持っています。

ビニールクロスの場合は破れてしまえば張替えが、合板フローリングの場合は部分的に剥がれてしまえば下地から張り替える必要が生じます。

一方で、自然素材の場合はどうでしょう。
漆喰や珪藻土は、部分的に傷つけてしまっても、同じ素材を少量準備して、水で練ってから塗り込んでしまえば、傷は埋まり目立たなくなります。

さらに一定時間を置いて乾燥、日にちが経過すれば、段々と補修箇所は目立たなくなっていきます。

この補修作業は、自分で行うことで家への愛着が湧き、子供と一緒に行えば家を治した「思い出」にもなります。

自然素材の場合、自分でメンテナンスする楽しさが得られるのです。

まとめ│自然素材の家でくつろぎを

>実例紹介:落ち着く香りに包まれるリビング(守谷市)

>実例紹介:落ち着く香りに包まれるリビング(守谷市)

自然素材の家の特徴と後悔しやすい点、さらにお金のことを解説しました。

漆喰や天然木材の持つ香りや質感は、人工の素材では実現しづらい”よさ”があります。

帰宅したとき、仄かに香る杉の香り。

ふと手をついたときに感じる、職人のコテのあと。

こういった天然の素材ならではの特徴に魅力を感じる人は、ぜひ自然素材を使った家づくりを検討してみてください。

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監修者情報

小川 雄介

小川 雄介二級建築士 二級施工管理技士 宅建士

2001年入社 入社時より設計に携わり、プランニングから実施設計、構造設計の経験を経て、現在は設計部の統括責任者の一人としてお客様の家づくりをサポートしている。趣味はバスケ。週末は友人と一緒にバスケを楽しんでいる。