平屋の注文住宅を建てる|メリット・デメリットと対策について解説
平屋(ワンフロアの家)には、多くのメリットとデメリットがあります。
このコラムでは2階建て以上の建物と平屋のメリットとデメリットについて、解説します。
平屋(ワンフロアの家)のメリット・デメリット詳細解説
近年、平屋は「昔ながらの家」というイメージから、「合理的で快適なライフスタイルを追求した家」として、若い世代からシニア層まで幅広い層に再注目されています。その魅力と考慮すべき点を、詳細にわたって解説します。
Ⅰ. 平屋の7つの大きなメリット

平屋の最大の魅力は、ワンフロアで生活が完結することから生まれる快適性と安全性、そして経済性です。
バリアフリーと安全な動線
- 階段による事故リスクがない
- 階段からの転倒・転落のリスクがゼロになります。これは、高齢者だけでなく、小さな子どもがいる家庭にとっても大きな安心材料です。
- 生涯設計に最適
- 年齢を重ねて足腰が弱くなっても、生活空間がワンフロアにあるため、安心して住み続けられます。介護が必要になった際もリフトや段差解消などの大規模なリフォームが不要で、スムーズな介助が可能です。
効率的な家事動線と生活動線
- 家事の効率化
- 洗濯・乾燥・収納といった一連の家事作業をすべて同じフロアで完結できます。例えば、「1階で洗濯して2階のベランダに干し、また1階のクローゼットにしまう」という上下移動が一切不要となり、大幅な時間短縮と負担軽減につながります。
- シンプルな生活動線
- 生活の主要な動線が平面的になるため、最短距離で移動でき、日常生活が非常にスムーズになります。
家族のコミュニケーションと一体感
- 自然な家族の繋がり:
- すべての部屋がワンフロアに配置されるため、お互いの気配を感じやすく、家族の様子が把握しやすいです。
- コミュニケーションの機会が増加
- 間取りのレイアウト次第では、リビングや廊下を通らないと自室に行けない間取りにすることで、顔を合わせる機会が自然と増え、家族間のコミュニケーションを促進します。
構造の安定性による高い耐震性
- 低重心で安定
- 2階部分の重量がないため、建物全体の重心が低くなり構造的に非常に安定します。
- 揺れの影響を受けにくい
- 地震の揺れや台風の強風の影響を受けにくく、高い耐震性を確保しやすい構造です。重心が低いため揺れ幅が軽減するので特に大地震の時は内外装の仕上げのダメージが少なく済みます。
メンテナンスコストの削減
- 足場代の節約
- 将来的に必ず必要になる外壁や屋根の塗装・修繕時に、2階建てほど大規模な足場を組む必要がないため、メンテナンス費用を大幅に抑えることができます。簡易的な修繕の場合は足場を必要とせず梯子などで工事が済む場合もあります。
開放的で自由な空間設計
- 大空間リビングの実現
- 2階の重さを支えるための柱や壁の制約が少ないため、壁のない広々としたワンフロアのリビングや勾配天井を採用した開放感あふれる空間を実現しやすいです。
- 自然との繋がり
- 庭やウッドデッキをLDKから直接出入りできる位置に配置しやすく、自然を身近に感じる暮らしを実現できます。
屋根裏空間の有効活用
- ロフトや小屋裏収納
- 屋根裏に、季節物の収納などに使える**小屋裏収納(ロフト)を設けることで、収納スペースを大幅に増やせます。階段移動がない平屋のデメリットを補う形で、デッドスペースを有効活用できます。
Ⅱ. 平屋の7つのデメリットと対策
平屋のメリットを最大限に活かすためには、デメリットとその対策を理解し、計画的に設計を進めることが不可欠です。
建築費用と土地代が高くなる傾向
- 【デメリット】坪単価の割高化
- 同じ延床面積の2階建てと比較すると、平屋は基礎と屋根の面積が広くなります。基礎工事や屋根工事はコストが高いため、結果として一坪あたりの建築単価(坪単価)は高くなる傾向があります。
- 【デメリット】広い敷地の必要性
- すべての部屋をワンフロアに配置するため、2階建てよりも広い土地が必要です。都市部や地価の高いエリアでは、土地の取得費用が大きな負担となります。
- 【対策】
- もともと階段がないため、廊下やホールを極力なくしたシンプルにすることで床面積を抑えた間取りにする
- 土地探しの場合、基礎面積が大きい平屋だと地盤改良工事が2階建てより割高になるため、近隣の地盤調査などのデータを参考にする
- 土地価格が比較的安い郊外や地方での建築を検討する。
採光と通風の確保が難しい
- 【デメリット】家の中心部に光が届きにくい
- 建物の奥行きが長くなるほど、中央の部屋や廊下に自然光が届きにくくなります。また、隣接する建物が高い場合、日当たりが遮られやすくなります。
- 【対策】
- 中庭(コートハウス)を設けることで、家の中心部にも光と風を取り込む。
- 天窓(トップライト)や高窓(ハイサイドライト)を採用して、上部から光を採り入れる。
- 勾配天井を利用して、高い位置に窓を設けて採光・通風を確保する。
防犯面・プライバシー面での不安
- 【デメリット】侵入経路の多さ
- すべての窓が地上に面しているため、侵入経路となる可能性が高くなります。特に人通りの少ない立地では防犯対策が重要です。
- 【デメリット】外部からの視線
- 道路や隣家からの視線が入りやすく、プライバシーの確保に配慮が必要です。
- 【対策】
- 防犯ガラスやシャッター、面格子などを設置する
- 人感センサー付きの照明や防犯カメラを設置する
- 庭に目隠しとなる植栽やフェンスを設置し、外部からの視線を遮る
- 窓の配置や高さを工夫し、視線が気にならない位置にする
水害時のリスク
- 【デメリット】避難スペースの制限
- 2階がないため、浸水が発生した場合に垂直避難できる場所が限られます。
- 【対策】
- 建築予定地のハザードマップを必ず確認して高台の土地を選ぶ
- 必要に応じて、屋根裏やロフトを緊急時の避難場所として活用できるよう設計する。
家族の生活音が伝わりやすい
- 【デメリット】音の広がり
- 廊下が少ない平屋の場合、テレビの音や話し声、水回りの音などが響きやすい場合があります。
- 【対策】
- リビングと寝室の間に廊下を挟むなど設計の工夫
- 水回り(浴室・トイレなど)を家族が集まるLDKから離す、または防音対策を施す
- 部屋間の間仕切り壁に断熱材を充填して遮音対策を図る
夏場の遮熱対策
- 【デメリット】屋根からの熱
- 居住空間の真上に屋根があるため、夏場は屋根が太陽光で熱せられ、その熱が直接室内に伝わりやすい
- 【対策】
- 屋根と仕上げ材の間に通気層を設ける、瓦など建物との間に空間のできる屋根材を採用して排熱効果をねらう
- 天井裏に厚い断熱材を入れる
- 通気層を設けるなど、屋根の構造を工夫して熱がこもるのを防ぐ
平屋のデメリットを解消する間取り例
平屋のデメリットに挙げた「採光」「通風」に関する間取りは、建物の形や配置が重要なポイントになります。ここでは、特に人気の高い3つの間取りタイプをご紹介します
中庭(コートハウス)型平屋
建物で囲まれた中央部に庭(中庭)を設ける間取りです。平屋のデメリットを最も効果的に解消できる設計として知られています
メリット
- 採光・通風の劇的改善:外壁側の窓だけでなく、中庭に面した窓からも光や風を取り込めるため、建物の中心部まで明るく、風通しの良い空間を実現できます
- 優れたプライバシー・防犯性:中庭は外部から見えないプライベートな空間となるため、大きな窓を設けても視線が気になりません。また、侵入経路が限定されるため、防犯面でも非常に優れています
- 開放感と一体感:リビングやダイニングから中庭への連続性が生まれ、視覚的な広がりと、内と外が一体化した開放的な暮らしを実現できます
デメリット・注意点
- 坪単価の上昇:中庭の分、外壁の面積が増えたり、複雑な構造になるため、建築コスト(坪単価)がさらに高くなる傾向があります
- 敷地の制約:中庭を設けるためには、ある程度広い敷地が必須となります
L字型・コの字型平屋
建物をL字型やコの字型に配置し、その内側に庭やテラスを設ける間取りです。中庭型よりもコストを抑えつつ、採光やプライバシーを確保したい場合に有効です。
メリット
- 効率的な採光:建物が雁行(がんこう)しているため、各部屋に窓を設けやすく、光を効率的に採り込めます。
- 風の通り道の確保:建物と建物の間に風が通りやすくなるため、通風性も高まります。
- 視線のコントロール:外部に面した部分は壁や小さな窓にし、内側の庭に面した部分は大きな窓にすることで、外部からの視線を遮りつつ、光と開放感を確保できます。
デメリット・注意点
- 動線が長くなりがち:建物が長くなるため、端の部屋への移動など、動線が長くなる可能性があります。
- 敷地形状への依存:敷地の形状や広さ、隣家との距離に合わせて、L字やコの字の角度・長さを調整する必要があります。
天窓・高窓を組み合わせた平屋
建物の形状に大きく依らず、採光・通風のデメリットを補う手法です。
メリット
- 上からの採光:建物が密集している立地や、隣家が高くて横からの光が期待できない場合に、太陽光を上部から直接採り込めます。
- 効率的な換気(煙突効果): 暖かい空気は上昇するため、高い位置に設けた天窓や高窓を開けることで、室内の暖かい空気を排出する「煙突効果(チムニー効果)」を利用でき、夏場の換気や熱こもり対策に非常に有効です。
- セキュリティとプライバシー:高い位置にあるため、プライバシーや防犯上の心配がありません。
デメリット・注意点
- 熱対策の重要性:天窓から直射日光が入ると、夏場に暑くなりすぎる可能性があるため、高性能な遮熱ガラスや電動ブラインドの設置が必須です。
- メンテナンス:天窓は雨漏りのリスクがゼロではないため、施工の品質や定期的なチェックが重要になります。
Ⅲ. まとめ:平屋はどんな人におすすめか?
平屋は、デメリットを設計で工夫して乗り越えることで、非常に快適で合理的な暮らしを実現できる住宅です。
| 特徴 | 平屋が向いている人 |
| 安全性・健康 | バリアフリーを最優先したい人、小さな子どもや高齢の家族がいる人 |
| 暮らし方 | シンプルで効率的な家事・生活動線を求める人 |
| コミュニケーション | 家族の気配を感じ、コミュニケーションを大切にしたい人 |
| 経済性 | 将来的なメンテナンス費用を抑えたい人、土地代に予算を割ける人 |
| 立地条件 | 広い土地を確保できる人、または郊外など地価が安いエリアでの建築を考えている人 |
これらの工夫を注文住宅で取り入れることで、平屋特有の「広さ」「採光」「プライバシー」の課題を解決し、平屋の持つ「快適性」「安全性」「動線の良さ」を最大限に引き出すことが可能になります。防犯性や音対策など平屋の持つメリットとデメリットとその対策は、敷地形状や要望によって大きく異なるため、建築士などの専門家と一緒に対策を講じていくことをおススメします。
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