地震に強い家づくり│耐震住宅の基本
耐震住宅は、大きな地震が発生した際にも倒壊や大きな損傷を避けるために設計されています。今回は、そんな耐震住宅の基本的な概念となぜ耐震設計が必要なのかについてご紹介いたします。
耐震設計の基礎
耐震設計は、地震が発生した際に建物が受けるダメージを最小限に抑えるための設計手法です。建物が地震の力に対してどのように振る舞うかを科学的に分析し、その結果に基づいて建物の構造を決定します。単に建物を強くするだけではなく、地震の力をいかに賢く管理しながら損傷を最小限に抑えるかに焦点を当てています。
【設計の原理】
耐震設計の基本原理は、地震の力をどれだけ効果的に吸収し、分散させながら建物の安全を担保できるかというところにあります。このためには、建物の重心と剛性のバランスが重要になります。重心が低く、適切に配置された剛性がある建物は地震の際に安定しやすいです。設計段階で耐震性を意識しながらプランニングすることで、無理なくコストバランスの取れた耐震性の高い建物にすることができます。
【構造の重要性】
建物の構造、特に柱や梁、耐力壁は耐震設計において中心的な役割を果たします。これらの構造要素が適切に設計されていると、地震の際に建物が受ける力を効率よく分散し、損傷を最小限に抑えることができます。構造の検討に一般的な2階建て木造住宅では、国の基準に合わせて耐震性を確保するために「壁量計算」という方法を取っていますが、2025年4月にこの壁量計算が改正される予定です。
【材料の選択】
耐震設計においては、使用する建材も重要です。柔軟性と強度を兼ね備えた材料を使用することで地震のエネルギーを吸収し、損傷を軽減することが可能になります。設計段階で大開口や大空間をつくるときは、耐震性に配慮した建材も様々な建材メーカーで用意されています。コストバランスとの相談ですが、大空間と耐震性は必ずしも両立しない訳ではありません。
【基礎と地盤】
強固な基礎と安定した地盤は、地震の力に対して建物を支える基盤となります。地盤が弱い場合は、地盤改良などの対策が必要になることがあります。土地から購入する場合は、各自治体が出しているハザードマップを参考に付近の地盤を確認することも重要です。次に紹介するサイトでは、JHS(ジャパンホームシールド社)過去の地盤調査の履歴やハザードマップなどを紹介していますので参考にしてみては。
耐震等級
耐震等級とは、建物の耐震性を示す指標です。日本では、建築基準法に基づき、建物の耐震性能を数値化し、等級で表現されます。この等級は、建物が地震による揺れに対してどの程度耐えることができるかを示し、住宅の安全性を判断する際の重要な基準となります。
上記のように耐震等級は、主に1から3の3段階に分類されます。等級1は建築基準法の最低限の基準を満たすレベルであり、等級3は最も高い耐震性を持つことを示します。等級が高いほど、大きな地震に対する耐久性が高いと判断されます。
耐震等級1
建築基準法で定められた最低限の耐震性を有する建物。これは、中規模の地震に対して倒壊や重大な損傷を避けることができるレベルです。
耐震等級2
等級1よりも1.25倍の地震に耐えられる耐震強度の水準です。等級2は、等級1の基準に加えて一定以上の安全性が確保されていることを示しており、災害時の避難所として指定される学校などの公共施設は、耐震等級2以上。長期優良住宅では、耐震等級2以上が認定の条件とされています。
耐震等級3
最も高い耐震性を示す等級であり、等級3は、耐震等級1の1.5倍の地震力に耐えられる大規模な地震が発生しても建物の損傷が最小限に抑えられることを意味します。災害時の救護活動・災害復興の拠点となる消防署・警察署は、多くが耐震等級3で建設されています。
地震につよい間取りとは?
耐震性を高めるために、特殊な資材を使用したり構造計算等で安全確認をすることも大事ですが、基本的な設計ルールをもとに作成した間取ならコストをかけなくても十分な耐震性を高めることができます。。吹き抜けや大開口など一見すると魅力的な間取りは、耐震性と両立しているとは限りません。普通に使用する材料で地震につよい間取りをつくるポイントをいくつかご紹介します。
【バランスの取れた耐力壁】
耐力壁とは、筋交いやパネルなどで構成する壁のことで、垂直にかかってくる地震力から建物を支える柱ではなく、水平力(横方向の力)に対して支える壁をいいます。耐力壁は壁の量だけでなく配置のバランスも重要です。十分な耐力壁量を確保していてもバランスが悪いとかえって不安定になり、弱い部分の補強が必要になります。バランスの取れた間取りは材料コストの削減につながります。
【床剛性を高める】
床自体も壁や柱と面でつながっているため、地震力に対する剛性の取れた剛床は耐力壁と同じく地震に強いと言えます。そのため階段や吹き抜けなどにより大きな床が欠損している場合、壁自体の補強が必要になります。特に外部からの荷重を受けやすい外壁面に接した吹き抜けの採用には耐震性との関連をしっかり検討する必要があります。
【大きな開口部をつくらない】
窓が多い家は気持ちがいいです。しかし、開口部と柱のみで構成されている間取りは耐震性を高めるための耐力壁がないため耐震性の確保出来ません。特殊部材を使用して補強を行うか、開口部はなるべく二間(3.64 m)以内とし、その脇には耐力壁を設けるなどして開口部にかかる地震力を耐力壁で受け止めるよう設計する必要があります。
【直下率を高める】
直下率とは、2階の柱や耐力壁と、1階の柱や耐力壁が配置されている割合をいいます。屋根の荷重を2階で受け止めた力を1階の柱に伝えて、基礎から地面まで力を垂直に流すことで必要以上に梁を太くすることを抑えることが出来るだけでなく、長期的にも屋根から地面まで伝わるため、たわみや歪みを抑える効果も期待できます。直下率を高めることは、耐震設計おいてに不可欠です。
地震に強い間取りは、必ずしも自分たちにとって理想の間取りになると限りません。しかし、耐震性を考えずに理想の間取りを追求すると、いざという時に不安を感じるような建物で暮らすことにはなってしまいます。
4号特例の改正 2025年4月に向けて
>施工実例:家族の想いが詰まった3階建ての家
国土交通省は、2022年6月に公布された改正建築基準法・改正建築物省エネ法により、4号特例(壁量計算)を改正すること発表しました。4号特例で建てた4号建築物とは、いわゆる「小規模の建築物」のことを示していて、木造2階建て以下で500㎡以下の建物を指しています。(建物の高さや軒高なども規定があります)500㎡は約150坪の床面積になりますので、一般の住宅はほとんど4号特例を採用して建築されています。
4号特例は、建築基準法の第6条第1項第4号に掲げる建築物で建築士の設計に係るものを指しており、上記に該当する建物は建築士が設計をした建物であれば審査を一部省略することができるという特例です。2025年4月より4号建築物として扱われていた建物が、新2号建築物と新3号建築物の2つに分類され、2階建て以上の建物と、200㎡(約60坪)以上の1階建ては、特例の対象外になります。
法改正の背景には、構造の検討を厳格にしていくことで、カバーしきれていなかった耐震設計に考慮した建物をつくっていこうという国の指針があります。2024年3月時点では4号特例の縮小後の審査方法などは公開されていませんが、国交省のホームページなどで紹介されていますので、興味のある方はぜひ参照ください。改正の概要が発表されたら、あらためてコラムなどで紹介してまいります。
建築確認・検査の対象となる建築物の規模等の見直し-国交省HPより抜粋
今回は耐震住宅の基本をご紹介いたしました。
設計指針は各会社で考え方が異なるため、気になる方は直接建築会社に確認することをお勧めします。当社の構造や性能については以下で紹介しているで興味のある方は訪ねてください。
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定休日:水・木