断熱等級で分かる住宅性能!省エネで経済的な住まいを実現。子育てグリーン住宅支援事業を紹介
住宅選びを始めると、必ず耳にする「断熱等級」は快適な住まいづくりには欠かせない要素です。
2024年4月からは新しい省エネラベル制度も始まり、その重要性はさらに高まっています。
今回は、断熱等級の基礎知識や評価が高い等級から得られるメリット、省エネラベルの重要性などを詳しく見ていきましょう。
注目される断熱等級とは?
出典:住宅性能表示制度における省エネ性能に係る上位等級の創設|国土交通省
断熱等級は住宅の天井や壁、床などの断熱性能を評価する指標です。国土交通省が定める「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づき、等級1〜7に分類されており、数字が大きいほど性能が高いことを示します。
断熱等級6や7は、地球温暖化対策やカーボンニュートラル(CO2排出量と吸収量を差し引きゼロにすること)の実現を見据え、2022年10月に新設された高性能基準です。
断熱等級と同様に、広まりを見せている「ZEH住宅」は断熱等級5から認定され、2050年までに日本が目指す「脱炭素社会」の実現に向けた住宅分野での取り組みの1つとされています。
断熱等級と省エネラベルの関係性とは?
出典:建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表⽰制度|国土交通省
省エネ性能ラベルは、住宅やマンションなどの広告に掲載するラベルを指し、2024年4月に導入されました。このラベルによって、消費者は物件の省エネ性能に関して簡単に比較検討が行えるようになります。
このうち最も重要な情報は「エネルギー消費性能」で、太陽光発電などの搭載でも星の数が異なります。
・太陽光発電を搭載する住宅:最大で星6つ
・太陽光発電を搭載しない住宅:最大で星4つ
星が多いほど省エネ性能に優れている住宅と判断でき、快適性の高さを表す指標として参考にする部分です。
次に「断熱性能」は天井や壁、床などの断熱性能を評価する基準値で、数字が大きくなるほど断熱効果が効いていることを示します。
また、ラベルには光熱費の目安も表示され、年間のエネルギーコストを事前に把握することが可能です。
この新しい表示制度により、住宅購入時の省エネ性能の比較が、より具体的で分かりやすいものとなりました。
断熱等級が高いと得られるメリット|生活面・経済面
断熱等級の高いZEH住宅は導入コストが40〜70万程かかるといわれています。
これは導入設備などにより増減しますが、断熱等級の高い住宅はこのコストを上回るメリットを得られることが魅力です。
ここでは生活面と経済面でそれぞれ得られるメリットをご紹介します。
生活面で得られるメリット
生活面で得られるメリットは主に次の2つです。
快適性の向上
高い断熱性能により、外気温の影響を受けにくい室内環境が実現し、夏は涼しく、冬は暖かい快適な空間で過ごせます。
とくに窓際の寒さや暑さが軽減され、家中どの場所でも快適に過ごせることが特徴です。
健康面での効果
どの部屋であっても温度変化の少ない室内環境により、ヒートショックのリスクを大幅に軽減できます。
とくに浴室や脱衣所での急激な温度変化が抑えられ、高齢者の健康維持に効果的です。また、結露の防止によりカビの発生も抑制できます。
経済面で得られるメリット
経済面で得られるメリットは次の3つです。
ZEH補助金制度※
断熱等級6や7を満たす住宅の多くがZEH仕様として認定され、補助金を受けられる場合があります。
・ZEH住宅:1戸あたり55万円
・ZEH+住宅:1戸あたり100万円
さらに追加設備を導入することで補助額が加算されるため、初期費用の負担を大きく軽減することが可能です。
※令和6年度ZEH補助事業の内容です。
省エネ住宅の光熱費削減効果
省エネ住宅では、一般住宅と比べて光熱費が大幅に抑えられます。
国土交通省の調べでは、東京23区のZEH水準省エネ住宅の場合、年間で46,000円もの節約が可能です。太陽光パネルを設置すれば、さらに約40,000円の削減効果が期待できるでしょう。
寒冷地の北海道札幌市等では、その効果は更に大きく、ZEH水準省エネ住宅であれば年間約96,000円の削減効果が見込まれます。
住宅ローン減税
断熱性能の高い住宅を建築または購入した場合、住宅ローン減税が適用されます。たとえば以下のような住宅では、13年間にわたり大きな額の控除を受けられます。
認定長期優良住宅・認定低炭素住宅 | ZEH水準省エネ住宅 | |
借入限度額 | 4,500万円 | 3,500万円 |
控除 | 控除率0.7%の場合、13年間で最大409.5万円 | 13年間で最大318.5万円の控除 |
住宅性能に応じた減税制度を活用することで、長期にわたり家計負担を大きく軽減できます。
子育てグリーン住宅支援事業(予定)
2024年11月29日、国土交通省・環境省は、ZEH水準を大きく上回る省エネ住宅(GX志向型住宅)の新築(注文住宅・分譲住宅・賃貸住宅)や、子育て世帯・若者夫婦世帯を対象とする高い省エネ性能を有する住宅(長期優良住宅、ZEH水準住宅)の新築(注文住宅・分譲住宅・賃貸住宅)を支援する「子育てグリーン住宅支援事業」を創設※ことを発表しました。
※ 国会で補正予算が成立することが前提となります。
対象世帯 | 対象住宅 | 補助額 |
すべての世帯 | GX志向型住宅※1 ①②および③の要件を満たすことが必要です。①断熱等性能等級「6以上」 ②一次エネルギー消費量の削減率35%以上 ③再エネ含めて100%以上※2,3、4※1:申請を行う事業者等に対して、グリーントランスフォーメーション(GX)への協力を求める ※2:寒冷地等に限っては75%以上(Nearly ZEH)も可。 ※3:都市部狭小地等の場合に限っては再生可能エネルギー未導入(ZEH Oriented)も可。 ※4:共同住宅は別途要件有 |
160万円/戸 |
子育て世帯等 | 長期優良住宅 | 建替えの場合 100万円/戸
上記以外の場合 80万円/戸 |
子育て世帯等 | ZEH水準住宅 | 建替えの場合 60万円/戸
上記以外の場合 40万円/戸 |
リンク先:国土交通省・経済産業省・環境省「子育てグリーン住宅支援事業」創設
まとめ
断熱等級は、快適で経済的な住まいを実現するための重要な指標です。2024年からの省エネラベル制度により、「性能の見える化」が進み、消費者にとって住宅の比較検討がより簡単になりました。
断熱等級が高い省エネ住宅の導入時は一定のコストがかかるものの、快適性の向上や光熱費の削減、各種支援制度の活用により、長期的には大きなメリットが得られます。
これからの住宅選びには、断熱性能を重要な判断基準の1つとして検討してみてはいかがでしょうか。